講師:
Career Park(キャリア・パーク) 根本 暁美様
座談会登壇者:デコアーティスト 齋藤 様
インテリアコーディネーター 中村 様
メディカルクラーク(医療事務) 鹿島 様
平成29年10月27日(金)、東京都主催による「東京ウィメンズプラザフォーラム」にて、セミナー「資格を活かした私らしいキャリアの築き方 」を開催しました。 前半はキャリアコンサルタントであるCareer Park(キャリア・パーク)の根本 暁美様に、ご講演頂きました。 後半は根本様を進行役に、齋藤様、 中村 様、鹿島 様と座談会を行いました。
現在の仕事をするようになって感じた変化
根本 今の仕事をするようになって、プライベート等どのように変化があったのか思われますか。以前の私と比べると、こんなところが強くなったとか、こういう風に捉えられるようになっただとか何か変化がおありになった印象を受けたのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
中村 そうですね。私は、資格をとってからの就職だったので仕事に関してのビフォーアフターはないのですが、友達から「好きなことを仕事に出来るといいよね。」と言われます。ワークライフバランスという話にもありましたが、土日しっかりお休みがとれるという環境もありますが、私の仕事は土日がメインなので、お客様の予定に合わせてどうしても休みが少なくなることもあります。ただ、自分のプライオリィはそこではなく、好きなことをしているということにあるので、続けられます。友達に言われ、気づかされました。
根本 さきほどの講演で、「キャリアアンカー」の話をさせていただいたのですが、中村さんは資格をとってそれを強みとして使っている。夢中になれること、好きなことは外せない事なのかと思います。
中村 そうだと思います。
根本 齋藤さんいかがでしょうか。
齋藤 私は中村さんのお話しにもありましたが好きなことで仕事をして羨ましいという声が多かったです。私は始め、何かを発信することはあまり好きではなかったのですが、無理やり行いました。行っていると、意外と人は自分のことをそんなに見ていないことがわかり、あまり気にならなくなりました。自分の作ったものでお客さんに喜んでもらえたり、着用写真を送ってもらえたり、人に喜んでいただける機会がすごく増えて日々の充実感がすごく満たされるようになりました。
根本 斎藤さんが苦手な自己発信も夢の実現のためにはと行動を起こす、行動変容をされたのだと思いました。自己理解をすると他者理解も進まれました。例えば、自分がしていることに対し、他人は自分が思う好ましい反応をしてくれなかった。だとしても、「私はこれを大事にしています」と、きちんと真ん中にご自分をセットする。そんな状態だったと思います。やはり、気になる方や自分が羨ましい方が自分の真ん中を占めてしまうと自分のキャリアを進める上でこれは誰のキャリアなのか?何のためにやっているのか?わからなくなって、楽しいはずのものの色合いが薄れてしまいます。自分を真ん中にセットされたことで、好ましくない反応があっても、自分の肯定感を下げないで私はこうなんだと回りの反応はこうだけど、私はこうなんだと進まれていったのではないかと思います。
鹿島 私も周りの人からは、「仕事が変わってとても充実しているね。」とよく言われました。生活が不規則だったのが規則的になったので、「健康的になったね。」ともよく言われました。私自身の変化ではなくて、周りの変化なのですが今までの職種では人と接することがもともと好きだったのですが、誰と接するかというと、中学生や小学生等のお子さんと接していました。仕事が変わって様々な世代の方とお付き合いをするようになったりして、自分のコミュニケーションの幅が広がったと感じています。
これからのキャリアプラン
根本 表情を拝見しても、イキイキとしているのがよくわかります。
では最後に、皆さんは資格を取得し、夢の実現をされて今の仕事につかれていると思います。ですが、まだまだライフキャリアは続きます。皆さんのこれからのライフプランやキャリアプランを聞かせてください。描くことが大事なので、妄想でも大いに結構です。マイルストーンをおかないことには、ずらすもさげるも変動が出来ません。ですので、マイルストーンを置くという意味でこれからの皆さんのライフプラン、キャリアプラン、こういうことがあったらいいなと思っていることをぜひお聞かせいただければと思います。では、中村さんお願いします。
中村 身近なところから行くと、資格の取得を目指しています。建築士2級を目指していまして、3年受けています。現在、3年越しで受けていて結果待ちの状態です。学科試験に受かっていて、製図の実技の結果待ちでそれに受かることが次のマイルストーンです。もうちょっと大きい夢としては、現在インテリアコーディネーターとして住宅に特化して関わらせてもらっています。オリンピック開催にあたって、街づくりや鉄道とリフォーム会社が提携して、取り組みを始めたりする動きがありまして、大きなホテルとか街づくり等に携われる機会があればと思います。
根本 3年越しでという話でしたが、やはり夢があるからトライを続けられるってことなのかもしれませんね。少し広げて、ライフキャリアといいますか。ご自身のライフプランとしては、抽象的なものでも結構なのですが、こんな風に歩んでいきたい。展開していきたい。人として女性としてということでも結構なのですが、いかがでしょうか。
中村 私はまだ未婚なのですが、今後結婚して子どもが生まれるというライフイベントがあった時にお二人のように働くお母さんとして、女性も働き続ける環境を作りたいと思っています。生活と仕事、両方充実して、どちらも両立できることが良いと思っています。
根本そうですね。どちらも大事なものということですね。齋藤さんお願いします。
齋藤 今は主に販売はオンラインショップなのですが、京都と大阪のショッピングモールの店舗で展示販売をさせてもらっています。スワロスキーは、写真では魅力が伝わりにくいので、実際に見ていただくことが一番です。もう少し全国的に見ていただける場を増やしていきたいというのが大きな夢であります。あと、意外とハンドメイドをしている方とつながりが出来る機会が多く、皆さん同じような悩みを持っていたり、上手くいく方法を意外と知らなかったりします。私もまだまだなのですが、失敗してきたことを模索している方に共有し、一緒に業界をもりあげるようなことも出来ればと思っています。
根本 齋藤さんご自身のいろいろな役割があると思うのですが、ご自身の夢というのはいかがでしょうか。
齋藤 そうですね。娘が11歳になって、なんでも自分で出来るようになってきて、子育ても落ち着いてきました。子どもと過ごす時間、家族と過ごす時間等、時間の使い方のバランスをうまく取れたらと思います。
根本 お母さんとして、お子様が大きくなられて、お母さんとしての時間は少しずつ以前よりは少なくなってきた時に、次はこういったことに時間を使いたいということはありますか。
齋藤 そうですね。今のところは、していることでいっぱいなので、具体的なそういったプランはないですが、将来的には先ほど申し上げたような人のために何かお役に立てる活動をしていければと思います。
根本 キャリアを勉強された方はご存知なロジックかと思うのですが、ライフキャリアレインボーという考え方があります。人は1つの役割だけで一生終えるのではなくて、それぞれの年代や、ライフステージによって役割を変えていく。当然、生まれたときは誰かの息子や娘です。そこから学ぶ人、働く人、そこから誰かの妻とか母とか、人によっては誰かの上司だとか、色んな役割を交錯させながら、キャリアを重ねていく。齋藤さんの話ですと、母としての幅が狭くなってきて、誰かに教えるとかそのためにご自身が学ぶ人という役割。こういう役割がステージによって変わっていくのかもしれませんね。鹿島さんいかがでしょうか。
鹿島 第1部の中で、生活で起きる事というのは仕事に直結するという内容の話がありました。私事ですが今年の3月に出産しまして、娘が7カ月になります。社会復帰を早くし、周りからは「そんなに早く復帰しなくてもお子さんと一緒にいる時間を作ったら」と言われたのですが、自分が職場に復帰し充実することで、家に帰って子どもと過ごす時間がより濃いものになりますし、自分の精神状態が安定していることで、子どもにも良い影響が出ると信じています。それを踏まえて今後のキャリアプランということなのですが、子育てをしていく中で回りの協力というのは欠かせないものになってくると思います。今まで仕事をしていて、「ママの代わりはいないけど、仕事の代わりはいくらでもいるから」という言葉をよく耳にしたのですが、実はその言葉が嫌いです。自分は一生懸命仕事をしているので、誰かがすぐ変われる仕事をしていないと思っていました。実際、出産し、子育てをして職場に復帰してみたら、やはりみんなの協力を得ずしては、仕事は出来ないですし、自分の仕事の仕方を考えていく事は自分のキャリアに繋がっていくのではないかと思っています。具体的には、私がいなくても情報が見える化されている、伝達事項の共有化がされている等です。皆と共有して仕事をするのもしてみると意外と難しく、誰が見てもわかるように書類を作っておく、そういった仕事の仕方に変えていくところが直近のキャリアプランかと思います。
根本 まさに、働き方改革をどこの職場でも進められていることだと思うのですが、周りの人が楽になることは自分自身が働くうえで楽になることだと思うので、素晴らしいと感じました。それともう1点、リソースを点検してみましょう。なんとなく、自分1人で全部しないといけなんじゃないか、ここの部分が欠けると母としてダメなんじゃないか、妻としてダメなんじゃないか、社会人としてダメなんじゃないか、と陥りがちになってしまうのかもしれないのですが、上司であっても使えるものは使うことです。また自分の体力や時間のために、お金を払って出来ることも一時的かもしれないですがあるのではないでしょうか。鹿島さんに対し、周りから良かれと思って、様々なことを言って下さったと思うのですけれども、鹿島さんには鹿島さんの大事にしているものがあります。だから、逆にいうと、そういう自分にとって好ましくない情報や心配事だとか、もっと言うと嫌味みたいなものが聞こえてきた時には、私は何を大事したいのか考えられる機会とポジティブに捉えればいいかと思います。そういう声がなかったら、自己理解や自分のアイデンティティが、もやっとしたままかもしれないので、逆に機会があった時にそれを良しとしない、私は仕事に対して、すごく誇りを持っているのだなとそういった確認が出来たのではないかと思います。
資格を取得しようと思っている方へのメッセージ
根本 では、時間も迫ってきたので最後に、3名の方は資格という一つの経験を通して、ご自身のライフキャリアを展開されているということなのですが、働く女性に対して、資格を取ろうと思っている方に何かメッセージをお1人ずつ最後に頂戴できればと思います。
中村 資格取得したからどうというわけではありません。自分自身が資格を取得できたということで、1つ「これが出来た」という達成感が自信に繋がると思います。自分のためにも資格は、あったほうが良いと思います。そのうえで、資格を取得していることによって、資格取得者として見られるのでその名に恥じないよう勉強するということにも繋がると思います。目標に向かい向上していくために、資格取得をすると思えると良いと思います。
齋藤 資格はとってそれを活かすことで視界が広がり、本当に毎日が楽しくなりました。資格取得するまで大変なことが多いし、資格取得してからも大変なことは必ずあるのですが、その先に、そういう今までに見たことのない景色や世界が広がっていくことは必ず言えることなので、そう言ったことを片隅に置いておいていただければと思います。
鹿島 何かを始める時ってかなりエネルギーがいるかと思うのですが、1歩を踏み出して、始めたからには、私も2回はチャレンジしましたが、最後まであきらめないで進むことが資格を取得するにあたって大事なことかと思います。
根本 ありがとうございました。3人の方の話を通して、感想を私よりお話しします。資格を取得しようと思った時のエネルギーや取得に向けての時間的な制限とか、気持ちの折れそうなところを頑張るとか、辛いところもあったと思います。ただ、皆さんがイキイキと話しになられたことを思うと、大変であっても好きだからこそ頑張れるし、楽じゃないけれどもそこに楽しさも見いだされているとすごく感じた時間でした。
お時間が来ましたので、座談会というスタイルはここまでです。3名の方、ありがとうございました。
WHO am I ?
根本 皆さんのお手元にWHO am Iというシートを配布しています。キャリアコンサルタントの方や研修をされている方は実際にお使いになった方がいるかと思いますが、心理学をベースにした自己分析のシートです。正式名称では「twenty sentence of test」というもので、今回は20問の「私は」で始まる文章をできるだけ書いてみましょうという自己分析のツールになります。実際にこれを小学校の低学年から社会人にいたるまでの方で行うと一番書けるのは小学校の低学年です。なぜなら、「私はアンパンマンです」とか平気で書けるからです。大人になると自分のことを客観的に見ることができますが、社会経験を積めば積むほど、意外と自分が何者なのか言語化、出来なくなってしまいます。「私は」で始まるものを書いた時にはぜひ、皆さんにトライして欲しいのですが、外的なものと内的なものどちらを沢山書いているか見ていただきたいです。外的なものというのは、「私は東京に住んでいます。」「私は〇〇会社にいます。」「私は女性です。」「日本人です。」等です。3人の話にもあったように、「自分が何を大事にして混沌とした世の中を生きていくか」が内的なキャリアです。そこを押さえることが大事だと思います。内的なものは、一部でもお伝えしたキャリアアンカーを、ぜひ参考にしていただけると考えやすいと思います。私が夢中になれる興味は何なのか、給与が低くてもこれだけは手放したくないものは何なのか。例として適切かどうかはわかりませんが、なかなか売れないミュージシャンがラーメン屋でアルバイトしてでも音楽を辞めたくない、というような興味とか能力ですね。能力というのは資格もそうですし、3人の方にパーソナリティーというものがあったと思うのですが、これも能力の1つだと思います。そして、もう1つ内的キャリアとしては価値観です。自分の大事にしたいもの、自分の許せないもの、そういったものも内的な「私は」で始まる文章をどれくらい書けるか、ということに私はよく使いますので、参考に紹介いたしました。
講演者プロフィール
Career Park(キャリア・パーク)代表
根本 暁美 様
2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)JCDA会員(CDA)
企業での人事、営業部門、マネジメント業務に従事した経験を踏まえ2005年よりキャリア支援業務を行っている。 主に企業でのキャリアコンサルティング及びキャリア支援フレーム導入へのコンサルティング、組織の活性化について支援を行っている。また、若年層を対象とした活動としては、主に大学でのキャリアデザインプログラム開発や講師として従事している。自身の女性管理者としてマネジメント経験や女性の職域を拡大する業務に携わったことから女性の多様性ある働き方への支援業務にも注力している。支援のモットーは自分の意思でトランジションを選択、行動できるようサポートすること。
座談会登壇者: 齋藤 様(デコアーティスト)
中村 様(インテリアコーディネーター )
鹿島 様(メディカルクラーク(医療事務))