資格を活かした私らしいキャリアの築き方(2)

講師:
Career Park(キャリア・パーク) 根本 暁美様
座談会登壇者:デコアーティスト 齋藤 様
インテリアコーディネーター 中村 様
メディカルクラーク(医療事務) 鹿島 様



(2018年4月掲載)

平成29年10月27日(金)、東京都主催による「東京ウィメンズプラザフォーラム」にて、セミナー「資格を活かした私らしいキャリアの築き方 」を開催しました。 前半はキャリアコンサルタントであるCareer Park(キャリア・パーク)の根本 暁美様に、ご講演頂きました。 後半は根本様を進行役に、齋藤様、 中村 様、鹿島 様と座談会を行いました。

資格を取得しようと思ったキッカケ


根本  ここからの時間は、実際に資格取得を転機とされキャリアを歩んでいる方々に、どのような日々を過ごされているのかを伺う時間とします。
1人ずつ、自己紹介からお願いします。中村さんからお願いします。

中村 インテリアコーディネーターの中村です。リフォーム会社でインテリアコーディネーターとして働いています。現在はリフォーム会社ですが、始めは新築のインテリアコーディネーターをしており、2社で働いてキャリアを積んでいます。

齋藤 デコアーティストの齋藤です。デコアーティストというと、一般的にどのような仕事をしているのかと聞かれるのですが、今日つけている「スワロフスキー」という素材を使い、携帯のキラキラしたデコのケース等、アクセサリーを作っています。現在は、年に2回ほど神戸と東京のファッションショーに出展しています。

鹿島 メディカルクラーク(医療事務)の鹿島です。医療事務の資格を取得しているので、病院で働いていると思われるかと思うのですが、現在はこれから医療事務を学習されて、医療現場につこうとされている方や医療の現場で実際に働いているスタッフの方等の教育を主に担当しています。最初に資格を取得した時と仕事は変わっているのですが、日々楽しく行っていますので、今日はお話しをさせていただければと思います。

根本 3名の皆様、よろしくお願いいたします。進行は、私が第1部に引き続き務めます。
では、3名の皆さんに資格をキーワードとしてお話を聞いていきます。資格を取得しようと思う時は、何かがあったのかと想像します。
転機に遭遇したと思うのですが、どうして取得しようと思ったのかキッカケやいきさつを一人ずつお聞かせください。

中村 私は、大学が4年生大学の文学部なのですが、周りと同じく、3年目と4年目の時に就職活動をしまして、就職する予定でした。その時、本当に自分が何をしたいのかということにぶつかり、面接で色々聞かれ、悩み、自分が小学校の頃に思い描いていたインテリアコーディネーターになりたいという夢を思い出しました。部屋の模様替え等そういったことがすごく好きで、インテリアコーディネーターになりたいという夢を持っていたのです。いつしか忘れていたのですが就職活動を機に思い出しました。私は就職活動を途中で辞め、町田ひろ子アカデミーというインテリアの専門学校に行くことを決意としました。そこに通う生徒はインテリアコーディネーターの資格をとることを目的としているので、必然的に資格を取得しました。

根本 中村さんに、引き続きお伺いしたいのですが、インテリアコーディネーターという夢を思い出した。そこに向かって踏み出そうと思った時は、すぐにエネルギーを出せましたか。

中村 かなり悩みました。就職浪人という選択肢もありましたし、大学院へ進む道もありました。高校教師の免許も持っていて、先生になるというのも一つの選択肢としてあって、親も始めは反対しましたし、全然進路が違うのですごく悩みました。ですが、今やらないとやれないなと思いました。時間が経つにつれて、挑戦することってすごく臆病になると思うのですが、今やらないと後悔すると思ったので、勇気を持って決意しました。

根本  就活を機に思い出した夢は、中村さんにとってすごく大事なものだったということが確認されたということですかね。

中村 そうですね。

根本 ありがとうございます。齋藤さんお願いします。

齋藤 先ほどの講演で根本さんからの話があったように女性ならではのライフイベントということで、出産後まもなくシングルマザーとなりました。それまでずっと営業事務の仕事をし ていたのですが、手に職を付けたいと思いまして、私にしか出来ないことを身に着けたいという思いがございました。テレビで、がくぶんのデコアーティスト養成講座を見て、受 講を始めました。その後、実際にがくぶんでデコアーティストの講座を修了された方々が デコアーティストとして活躍されているのを知り、そこを目指したのが一番のきっかけで す。ハンドメイドを仕事にするというのは、本当に難しいのですが、資格取得後のサポー トが、がくぶんは手厚いので、そういったところもやっぱり受講者の方の声を聞くことが できて、取得するきっかけとなりました。

根本 ありがとうございます。齋藤さんは、ライフイベントがあり、「手に職をつけないといけ ない」という思いが最初のきっかけだったのかもしれないですが、「私にしか出来ないこ と」そういう風に思われたのは、何かキッカケがあったのでしょうか。

齋藤 同じスワロフスキーを使った作品を作っていても、作る方によって全くテイストが違うし、 人に与える印象も違う、その人にしか出来ないものを創り出せる仕事ではないかと思いま した。

根本 齋藤さんにとっては、オリジナリティというのはご自身が仕事をしていくうえでは大事に していきたいものではないでしょうか。それでは、お待たせしました。鹿島さんお願いい たします。

鹿島 私は、以前学習塾で講師をしており、中学受験や高校受験を目指す学生のサポートをする 仕事をしていました。サポートするときに自分の時間を割いて、授業後も夜遅くまで自習 する時間につきあったり、土曜日、日曜日に受験対策の講座を開いたり、自分の時間をど う作っていくかと考えていました。齋藤さんが先ほど、ライフイベントという話がありま したが、今後、女性として結婚、出産を考えたときに今の仕事はとても楽しいけども、こ のままこの仕事をしていてもいいのかと感じたことが、医療事務の資格をとろうと思った キッカケでした。なぜ医療事務だったかというところなのですが、たまたま夜にテレビを 見ていてニチイ学館のCMが流れてきました。ご覧になった方がいるかもしれないですが、 数年前、「事務です。事務です。医療事務です。ただの事務じゃなくて、医療事務です。」 というCMを見て、医療事務をしようと思ったのがきっかけでした。なので、これから資 格を検討されるかたは何の資格を取ろうと思うのかはそんなものなのかと私は思っていま す。

根本 偶然ニチイ学館さんのコマーシャルに遭遇したということが転機に繋がったのですね。それぞれ皆さん、取り巻いている環境の変化であったり、次の現場を選択しないといけないところに立ったり、それぞれの転機になった時に考えたのが、今お持ちの資格ということでしょうか。

学習時の思い出(良かったことや大変だったこと)

根本 次の質問にうつります。皆さんのお持ちの資格は取得の難易度が高く、センスが必要な資格だと思うのですが、お持ちの資格は試験に向けての学習時間、内容ももちろんですが、学習時の思い出や、どのようなことがあったのか、どのようなことが大変だったのか、当時のことをお聞かせください。

中村 町田ひろ子アカデミーという専門学校に通っていたので、授業自体が資格試験の勉強となるような内容でした。とはいえ、資格取得のための授業を行っていたわけではなかったので、別に学習が必要でした。通学に1時間半程あり、その通学時間に学習をしていました。資格取得を目標としているのですが、課題をゆるめるような学校ではなかったので、課題と並行して学習するのがすごく大変でした。なので、一番時間を割いて出来たのが、夏休み期間です。夏休み期間の3週間は課題がなく、休みの時間がもらえたので勉強をしました。仲間とラインや電話で声かけをしながら勉強した記憶があります。

根本 ものすごくハードな毎日をイメージしました。もう無理だとか弱気になるようなことはありましたか。

中村  夏休みの2、3週間の間が一番なかだるみした時期ではありました。誰も見ている人がいない。学校だとみんな頑張っているので、1人になるともういいかなという気持ちが出てくるのをぐっとこらえていた。

根本  そのなかで、諦めないで自分をかりたてた支えになったものというのは何でしょうか。

中村  現役で、合格すると思っていたので、もう1年この思いをするなら、今頑張ろうと思いました。

根本 『こうなりたい自分の姿』『こうなりたくない自分の姿』に向かっていったということですね。それでは、齋藤さんお願いします。

齋藤 中村さんとは全く違う形式で、自宅で受講できるスタイルの講座でした。半年間受講して、資格を取得する。テキストとDVDを使用しました。先生の手元が拡大され、行っているところがよくわかるようになっており、スクールに行かなくでも受講できるタイプの講座でした。テキスト、DVDを見ながら作品を作り、先生のところに送って添削をしてもらう講座だったのですが、想像以上に添削が厳しく、こんなところまで見てくださっているのかと思ったり、意外とここがだめだとか落胆したりした記憶があります。現在、仕事として実際に作品を作って、お客様にご購入、ご使用いただく中で、細かい所まで見てくださったので、商品価値があがり、厳しくしていただいてよかったと感じています。中だるみという話があったのですが、通信講座って一人でやるものなので、本当にやらなくなるとやらなくなります。そのモチベーションのキープの仕方が大事になってきます。やりたい形というか、なりたい、目指したい所や、私にはこういう風になりたいという明確に目指したい方を持ち、学習したことが続けられた理由かと思う。受講を考えている方は、目指したいところを常に持つことをオススメしたいと思います。

根本 向かって行く先の自分のイメージがつかみづらい時には、憧れの人(ロールモデル)をセットして真似ていく、モデリングしていくということもありなのかもしれないですね。ありがとうございます。

鹿島 ニチイ学館の学習スタイルの売りとして、色々なライフスタイルに合わせた学習方法がありました。学習塾で働いていたので、仕事しながら通信教育で始めようと思い、医療事務を始めました。でも実際テキストが家に届くと、とても多い量で、写真もありませんでした。こんな量を1人でやるのかと思いながら、日々、少しずつ進めていました。齋藤さんからも話があった、絶対やろうという強い気持ちがないとくじけてしまう。それが通信教育だと思います。私はくじけたほうです。大変でした。そこで、良かったことと言えば、楽観的だったというところです。仕事を辞めれば資格がとれると思い、仕事をすっぱり辞めて、通学コースに切り替えて短期間で資格を取得しました。ですので、資格取得までは期間としては3カ月。週2回通学だったので講座に通って、クラスの中で一緒に学習する友達と励ましあいながら、資格を取得することが出来たのが良かった点だと思います。

資格取得のために、自分の背中を押したもの


根本 退路をたったわけですね。なかなか勇気がいる事だと思います。皆さん資格をとられてその道で仕事をされているので、今となっては良い思い出ということでお話しをしていただけたのかと思います。ではあえてそこを少し掘り下げて、聞かせていただきたい。通信講座であったり、別に仕事を抱えたりタイトな時間の中で資格取得に向かっていくと思うと、自分を支えたり、背中を押したものは何だと思われますか。

齋藤 私のキッカケは、将来に対する不安でした。今もそうですが、家族の協力や、やったことを認めてくれる人がいることは、支えになっていました。また、私の場合はやっていることを発信したりすることで、やらなきゃいけない環境を無理やり作ったところが大きかったです。

根本 齋藤さんは、むしろ宣言してしまったほうが、目標に向かって行けるタイプだという自己理解があったのだと思います。鹿島さんいかがですか。

鹿島  私は、根本さんの話にあった退路を立ったというところが1つあります。仕事を辞めてしまったので、資格をとってしっかり仕事をしようという思いと性格上なのかなんとかなるだろうと思っていました。諦めずにやっていればなんとかなる。その一心でつきすすんだ感じです。

根本 中村さんはいかがですか。

中村 私も退路を立ったというか、就活の段階でこっちに行くと決めたことと、学習してみて、すごい楽しかったというのが大きいです。好きなことなので、苦がなく続けていくことができました。

資格取得したことでの変化


根本 退路を立ったり、自分を駆り立てて、資格をお取りになられたということだと思います。資格を取られた後、今までと今とでは環境においてもご自身のマインドにおいても変化があったのかと想像するのですが、資格をとることで、どんな変化が起きたのかをそのあたりをお聞きしていきたいと思います。

中村 資格をとったことによって、インテリアコーディネーターとして就職をすることが出来たというのが一番大きいです。実際に働くなかで名刺にもインテリアコーディネーターと書くことが出来ます。お客様からの信頼は違いますね。

根本 信頼を得る事が出来たということですかね。中村さんご自身は、気持ちの中では何かインテリアコーディネーターとしての役割がセットされて、ご自身は働くうえでの価値観の変化はありますか。

中村 好きなことを仕事にしているという充実感があります。

根本 いいですね。充実感を得られるような日が始まったということですね。齋藤さんお願いします。

齋藤 資格を取得した時点では何も変わらないのですが、仕事をするための活動を始めたことで、取り巻く環境がすごく変わりました。私の場合は、就職先がないので、自分で作っていかなければなりませんでした。本当に失敗ばかりだったのですが、知ってもらうための行動を沢山しました。インターネットでホームページを立ち上げたり、ブログを始めたりしました。見てもらえないので、イベントに出たりする等、沢山の人に会いに行き自分自身を知ってもらうところから始めました。同じようなことをしている方のネットワークが広がり、オンラインだけの付き合いではなくオフラインでも対面の人付き合いが広がったことで、活動の幅が広がりました。今こうしてここにいるのも、沢山の人と関わり、活動の幅が広がったおかげです。資格は取得しても動かないと本当に変わらない部分があります。ハンドメイド系の方は、資格を取得したらすぐ動くことをオススメしたいと思います。

根本 齋藤さんは自分のことを知ってもらうために、発信するという行動にうつされています。その行動を起こしている時は「しんどいな」とか「今日はこんな人とつながれた」とか、様々なことがあったのではないかと思います。そのあたりはいかがでしょうか。

齋藤 思った以上に、全然見てもらえてないなと思いました。ブログをしていても、いいねが1や2のそういう所からスタートして、地道に3年程ブログを行い、読者を2000人まで増やしました。最初は辛かったのですが、行ってきたことは裏切らず、少しずつ取りまく環境が変わってきました。小さな積み重ねで状況が好転してきて、それが楽しく思えてきました。そういったことがあったから、続けられたと思います。

根本 資格を取得されて「具体的な行動に移さなきゃ」と思うものの、やり方や誰に会いに行けば良いか等、戸惑われたりしたこともあったかと思います。そういう時にどなたかにアドバイスをもらったのでしょうか。

齋藤 アドバイスをもらいました。先ほどお話しした、テレビで拝見したがくぶんさんで資格をとられて活躍されている方に、ダメ元で連絡し、開業するにあたってのレッスンをして頂くことに承諾いただきました。「実際にこういうことやると良いよ」ということをかたっぱしから全部やりました。沢山の人に会って話を聞いて、それが全て自分にあうかというと違うので、失敗を重ねて検討しての繰り返しでしたので、本当に沢山の方に助けていただきました。

根本 なかには話にあったとおり、うまくいかないようなこともあったと思うのですがそれも含めてプロセスを楽しむと言ったら言い過ぎかもしれませんが、自分にとって必要な時間だという認識を持つことが出来ていたということですかね。

齋藤 そういう経験があるから、新しいことをする時も失敗することが怖くない。まずはやってみるというスタイルが確立することが出来ました。

根本  鹿島さんはいかがでしたか。

鹿島 資格を取得したことで、念願叶い総合病院で働くことが出来ました。月〜金まで仕事で、土日はお休みでした。以前の職場とはがらりと変わり、自分の時間がたっぷりとれました。先ほど、根本さんもワークライフバランスの話をされていたとおもうのですが、生活と仕事の調和がすごくとれた充実した毎日をおくれました。遠くなっていた友達とも、ご飯を食べに行ったり、遊びに行く回数も増えて、自分のプライベートが充実していました。仕事はどうだったかというと、プライベートが充実すると精神状態も安定し、仕事をもっと頑張ろうと思っていました。資格をとってそれで終わりかというとそうではなく、その資格をベースとして学ぶ事って日々沢山あると思います。病院での業務もそうです。資格をとったから、全部わかって働けると言えばそうではない。日々、いろいろなことを学んでいくことも楽しかったです。

根本 鹿島さんのお話しにもあった通り、あくまでも資格取得は、「それを初めていいですよ。」という許可をもらえただけであり、私も12年程キャリアコンサルタントとして働いているのですが、やればやるほど学ばなきゃいけないこと、知りたいことはどんどん増えてきます。資格をとったからもう良いと思うと次のキャリアが展開しづらいと思います。お仕事の先にいるお客様やクライアントにそれぞれニーズがあるので、いかによりよいものを提供していくのかと考えることが資格取得してからのスタートかもしれません。

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講演者プロフィール

Career Park(キャリア・パーク)代表
根本 暁美 様
2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)JCDA会員(CDA)
企業での人事、営業部門、マネジメント業務に従事した経験を踏まえ2005年よりキャリア支援業務を行っている。 主に企業でのキャリアコンサルティング及びキャリア支援フレーム導入へのコンサルティング、組織の活性化について支援を行っている。また、若年層を対象とした活動としては、主に大学でのキャリアデザインプログラム開発や講師として従事している。自身の女性管理者としてマネジメント経験や女性の職域を拡大する業務に携わったことから女性の多様性ある働き方への支援業務にも注力している。支援のモットーは自分の意思でトランジションを選択、行動できるようサポートすること。

座談会登壇者: 齋藤 様(デコアーティスト)
                    中村 様(インテリアコーディネーター )
                    鹿島 様(メディカルクラーク(医療事務))