賢く美防災 災害に負けない豊かな住まいとインテリア

株式会社町田ひろ子アカデミー 代表取締役社長
町田ひろ子 様

2014年10月に在日米国商工会議所にて、町田ひろ子アカデミー 代表取締役社長 町田ひろ子様が
「A Woman’s Eye」(女性の視点)をテーマに講演を行いました。
今回は、講演に関するレポートと講演後、町田ひろ子様にお話をお伺いしました。

在日米国商工会議所(ACCJ)とは

在日米国商工会議所(以下ACCJ)は、日米の経済関係のさらなる進展を目標とし1948年に設立。
今日では、東京、大阪、名古屋に拠点を置き、40数か国1,000社ものグローバルな視野を持つ企業から2,700名を超える会員を有するACCJは日米間の経済活動を促進し、会員企業の利益を向上・保護する施設をサポートするだけでなく、最新のビジネス戦略や動向を把握できるよう様々なプログラムを提供している。ACJJは、グローバルな視野を持つ企業と専門家が集まる企業団体として活躍。
ACJJには、60以上の委員会と小委員会があり、各委員会が企画する年間約500回のイベント、講演会、会合の開催を通じて、情報交換や戦略・アイディアの発展、ネットワークの場の提供、そして日本が直面している問題についての提言を行う。

講演までの経緯


ACCJでは、ビジネスにおける女性へのサポートやキャリア開発を目的とした委員会、「ウィメン・イン・ビジネス委員会」にて、会員向けに女性実業家のキャリアを探るイベントを定期的に実施しています。
今回、主催者側からの推薦を受け、「A Woman’s Eye」(女性の視点)をテーマに町田様のキャリアをひも解く講演が行われました。
町田様は、男性中心の住宅・建設業界において、日本で初めて「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱し、女性が働くための道を切り開いてきた経歴をお持ちです。

実は、アメリカでも、「ガラスの天井」と称されるように女性管理職育成、経営者層への登用の低さが問題となっています。
今日は、町田様が男性社会の中でいかに道を切り開いてきたのかといった内容を中心に全編英語での講演を行いました。

講演内容について(概要)


私が米国より帰国した1977年、日本の住宅業界は男性社会でした。
とても女性が入り込む余地はなく、男性が男性の目線で住宅を設計し、男性を生活の中心に据えた住宅が主流でした。また、働く女性の数が少なく、女性らしさを捨てて必死に働かなければ男性と対等に仕事ができない時代でした。

私は日本の住宅業界にて就職せず、フリーランスとして単身、住宅業界に飛び込むこととなりました。
すると、日本の住宅においていくつかの問題点が見えてきました。
例えばキッチンです。

当時のキッチンは「3K」と呼ばれ、(K(暗くて小さい)、K(汚い)、K(北側など日の当たらない場所)女性の孤独な作業場を捉えられていました。
それもそのはずで、周辺の男性たちはみんな、朝から晩までオフィスで仕事、家に帰るのは寝るだけという生活。
つまり、ほとんど家にいない、台所仕事をしたこともなさそうな人たちが住宅をつくり、キッチンの設計をしていて、本当に住みやすいものができるのだろうか、と問題意識を持つようになりました。

そこで、私は欧米での生活をもとに家族が自然に入ってきてしまうキッチン、住宅の中心に配置するオープンキッチンを思い切って発表しました。
たいていの家では、コンロやレンジフードは壁際にあるのが一般的。
現実にも、そういうものだと思っている方が多いのも事実です。
もし、キッチン設備が中央にあれば、おしゃべりしながら、家族みんなで料理や後片づけができます。
壁に向かってひとりで家事をしなければならないキッチンより、こちらのほうが楽しいし、ご主人や子供も入りやすい。

キッチンが変われば、生活スタイルは大きく変わります。
そうなれば、おのずと主人や子供たちのとの関係、関わり方も変わってくるはずでした。

しかし、オープンキッチンでは室内全体に煙とにおいが充満するのではないかと大反対、しかも男性だけでなく主婦たちからの反対も大きいものでした。

ただ、技術の進歩によりレンジフードの場所を自由に決めることができること、夫婦共働きの欧米の家庭では、リビング・ダイニング・キッチンの主役がアイランドキッチンになっていること、環境を変えることで生活スタイルが大きく変化することを根気強く提言し続けていきました。
そのかいもあり、現代では、住宅、戸建て、マンションに至るまでオープンキッチンが主流となるまでに確立することができました。

キッチンにスポットをあてて住環境の一部を変えたことで、今では暮らし全体が変わり、新しいライフスタイルが生まれました。
そして、生活の中心に女性を据えたことで、女性の地位を向上させることにつながりました。
まさしく住宅業界では女性の視点、生活者の視点が抜けていたのです。

「ここに、女性ならではの視点を生かせる仕事が成立するのではないか」と気づいたのは、そのときでした。
実際に家事をしている女性の感性が生かされる新しい仕事-インテリアコーディネーターという仕事は、こうして生まれました。

その後、インテリアコーディネーターの資格が経済産業省の指導もあり誕生することとなりました。

今では、インテリアコーディネーターは暮らしをより良く提案する専門職として、また女性が強い仕事として認知されるまでになりました。

今回講演した内容は一例であり、あらゆる業界にもこのような事象が当てはまると思います。
これからはすべての業界に女性の目線、生活者の視点が求められていきます。

現在は、東日本大震災・津波・原発問題を教訓にし、「防災」と「インテリア」を結びつけた新しいコンセプト「賢く美防災」を発表しました。
災害に負けない豊かな住まいとインテリアとして、いのちを守るシェルターのある家です。

最後に「賢く美防災」をコンセプトにした表参道にあるモデルハウスを事例として紹介します。
そして、美防災の意識が日本全国に根づき、災害に負けない安全な家が増えていければいいと思います。

講演後お話を伺いました


男性が多い業界の中で、女性の活躍できるポイントを見つけ、女性の活躍を推進していかれた経緯や「賢く美防災」に関するご自身のプロジェクトについて多くお話をされていました。
講演の中で、特に伝えたかったポイントはなんですか?

町田 「女性のキャリア形成においては、3つのポイントがあります。

1つ目は、『発信し続けること』。
私自身、インテリアコーディネーターという職能の創出やオープンキッチンの概念を提案する中で、発信し続けることの重要性がわかりました。
一度の発言で人を動かすことはできません。一度ダメでも何度も繰り返す。
発信し続け熟成することで実となるものです。

2つ目は『女性の視点を持つこと』。
女性だから気づくポイントを追求していくことが大切です。
男性と正面から争うのではなく、男性が気づいていないニッチな領域でブレイクスルーするという考え方に立ち、女性の視点や目線を持って攻めていくことが必要です。

3つ目は『自身のキャリアのコンセプトを持つこと』。
女性は社会的意義がある、社会還元型の仕事で特に力を発揮します。
仕事に対し、社会的意義を持たせるためのコンセプトは非常に大事ですし、生活者の目線に立つことも大切な意識です。」

今回のセミナーでは、海外の方も多く参加されており、女性の幹部育成に関する事や女性の活躍するポイントについての質問も多く挙がりました。
海外でも女性の幹部育成や女性の活躍推進は課題となっており、非常に高い関心が寄せられていました。

JADには女性の役員(理事・監事)が3名おり常に積極的な提言を頂いており、JADの活動においても女性活躍推進を重要なポイントの1つとしています。

これからはまさしく女性の視点が求められる社会となります。その中で活躍する女性がますます増えていくようJADも支援して参ります。

プロフィール

株式会社町田ひろ子アカデミー 代表取締役社長
町田ひろ子 様

1977 年、日本で初めて「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱。
1978年に「町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー」を設立。
現在、全国6校のアカデミー校長として教育活動に努めている。
また一級建築士事務所・株式会社町田ひろ子アカデミーの代表取締役として、インテリア・プロダクトデザイン・環境デザインと幅広いジャンルのプロジェクトを手掛けている。

※町田ひろ子アカデミーの詳細はこちらから。