ISO29990取得を通じて 自社の強みを再認識

株式会社シェーンコーポレーション 代表取締役社長
是枝 正隆 様

(2014年10月掲載)

2014年7月に大手英会話スクールとして日本初のISO29991(語学学習サービスの国際規格)の認証を取得された株式会社シェーンコーポレーション(「シェーン英会話」を運営)にインタビューを行いました。
同社は2013年3月にISO29990の認証を取得されており、2年続けての取得となりました。
今回のインタビューは、シェーンコーポレーション 代表取締役社長 是枝正隆様をはじめ、次の皆さまにもご同席頂きお話をお伺いしました。
・シェーンコーポレーション スクール事業本部 飯田橋運営課課長 小倉眞樹様
・栄光ホールディングス 広報室室長 横田保美様
・栄光ホールディングス 広報室課長 徳高玲子様
(以下敬称略)

ISO29991取得の経緯

− 御社では既にISO29990を取得されていましたが、今回、新たにISO29991を取得されました。
29991を取得しようとお考えになった背景を教えてください。

是枝 当初からISO29991を取得したいと考えていました。
しかし、当時はまだISO29991が発行されていなかったため、まずISO29990を取得しておき、ISO29991については発行後に29990と29991の差分について審査を受ける、という考え方で進めました。
ISO29990のときは業界初の取得を目指していましたが実現できませんでしたので、29991についてはぜひ実現したいと考えていました。
業界に先駆けて取得することで、質保証に対する熱意を周囲に伝えられるのではないかと考えていました。

私はいつも、審査員の方には「課題や問題点をどんどん指摘してください」とお願いしています。
社内のISO担当者の仕事を増やすことになるかもしれませんが、指摘されることでお客様へのサービスを良くすることにつながれば、と考えています。

− ISO29990と29991、どんな点に違いを感じましたか。

小倉 ISO29990は運営側がいかに正確に質保証のサイクルを回し、それをフィードバックしているかどうかが問われました。
ある意味でマネージメント重視です。

一方、ISO29991では、講師のレッスンもきめ細かく審査されます。
実際の授業を通して、シェーンのスタンダードがどうなっているか、どこでも安心して授業を受けて頂けるか、という点について、より一層問われる点が違います。
つまり、実際のサービスに重点が置かれています。

横田 29991では実際の指導の現場、講師の採用・育成、実際の授業における教材と講師の一体性も問われるので、授業を最初から最後まで通して審査されます。

小倉 授業を見る際には、受講者用の教材や講師のマニュアルとリンクさせながら審査されます。
授業のこの場所で生徒さんにこういう働きかけをするのは、シェーンの方針に沿って行っているんだ、これがきちんとしたマニュアルになっているんだ、ということがお分かり頂けたかと思います。
「僕がレッスンの見本だよ」という講師は、どんなに良くてもISOの観点からはたまたまよかった、という評価になってしまいます。

徳高 語学指導の専門家の審査員の方から、「(公教育と比べて)民間教育がこれだけ高いレベル・品質で指導をされていることは非常に素晴らしいことで、大変驚きました」とのお言葉を頂き、自信になりました。

ISO取得により得られたこと


− ISO29990を取って1年半ほどが経過されていますが、取得したことで、社内にどんな変化がありましたか。

是枝 取る前までは、部分最適化されていたものが、ISOを取る過程で全体をつなげてみると齟齬が出るところもあり、整理されることで社内のフローが上手く回るようになったということがあります。
また、かつては同じ質問をしても教室や人によって回答が違うこともあり得たのですが、ISOの取得を通して、会社としての回答はこれだ、ということの統一が取れるようになりました。
これまでは経験値で類推して「こうであろう」と回答していたものが、ISO取得の活動を通して、「こうである」と全員が自信を持ってできるようになった点が大きいですね。

− 講師の中には自分のやり方にこだわってしまう方も多いのではないかと思うのですが、取得に対する反応はいかがでしたか。

是枝 400人近い講師がいるのですが、審査の際も「これだけの講師がオーガナイズされているのか」という驚きの声がありました。
講師へのマニュアルや研修もありますし、レッスン開始までに何十時間という研修も行います。
教授法はもちろんのこと、カスタマーサービスの視点や日本の文化に対する指導など、かなり細かい内容の指導を行います。
彼らのこれまでの経験も活かしながら、シェーンのスタンダードはこれだということを理解した上で講師チームには動いてもらっています。

また、ISOは国際基準ということもあり、講師にとっても、自分が働く企業が国際基準を目指す会社だ、ということを評価し、愛社精神につながっているという声も聞いています。

当社は講師を目指す方向けの英語指導資格コースを日本で唯一トリニティ・カレッジ・ロンドンからの認定を受け、提供しています。
だから、社外の英会話の先生へのトレーニングを行うことも可能です。
シェーンの社内トレーニングはTESOLなどの国際的な資格にも匹敵、あるいはそれ以上の指導を行っている自信があります。

徳高 シェーンの質保証の取り組みに、ISO規格は29990から29991で近づいてきた、という思いがあります。
自分たちが大事だと思ってきたことが、国際規格の中でも重要なんだ、ということが分かりました。
教材、講師が一体化し、どの講師のレッスンを受けても質が保証される、という考え方が重要だ、ということが理解でき自信になりました。

是枝 我々は、使う教材も大半がオリジナルで内部製作しており、教材の使い方に関するティーチングマニュアルも整備していますし、母国語を英語としない方向けに英語を教えるための資格を付与できる講座も運営していますので人材育成もできます。
教材の作り手の意図を、資格を有する講師がその意図を理解して教える、という一本の筋が通った運営をしていますので、外部から見ても分かり易く、評価されやすかったのではないかと思います。

ISO取得に対する反応


− ISOを取得したことで、受講生や取引先から、何か反応はありましたか。

是枝 ISOはまだ普及の過程ですので、販促効果はこれからだと思います。
我々は販促面での効果よりも品質面での効果を期待して取得しています。
ISO取得によって社内の流れが良くなり、その結果としてお客様が増えていると考えています。
実際に、ISO取得のための活動を2年前から始めて以降、退会率は減少を続けています。

− 御社ではトップ自らがISOに対する姿勢を示し続けてきたことが良く分かりました。
御社の場合はあまりないのではないかと思いますが、仮にISOに対してネガティブな反応があった場合はどう対応をされましたでしょうか。

小倉 社内ではあまりネガティブな反応というのはありませんでした。
あえて言えば「既に質向上に関する活動をやっているのになぜISOが必要なのか?」という声があったくらいでしょうか。

とはいえ、質向上に関する活動の重要性はみな理解していますので、ISOがどういうものか、という説明をしていけば理解をしてもらえました。
むしろ、現場にとっても、これまでよりも「ルール」が分かりやすくなった、というメリットがあったのではないかと感じています。

− 今までやってきたことがあるから、ポジティブに受け入れられたのでしょうね。

横田 逆に、ISOを取ることでルールが変わるぞ、全部ひっくりかえってしまうぞ、となってしまうと、現場の方々としては受け入れ辛いですよね。

是枝 栄光は上場していますので、上場企業としての制約はあります。
シェーンも過去に栄光グループに入ったときに、出来ないことやしてはいけないことが明確になったという経緯があります。
これが今回のISO取得によってさらにはっきりしました。
お客様に提供できること、できないことも明確になりましたので、お客様からの要望に対して無理に全て応えようとして破たんする、ということもなくなりました。
ルールが明確になることによって、現場にとっても活動しやすくなったのではないかと思います。

小倉 過去はクラスによっては進度がバラバラで、次の年度に進むときの教材切り替えがうまくいかないようなこともありました。
グループレッスンの場合、一人お休みの人が出るとその人に合わせて進度を遅らせる、ということがありました。
現在は、お休みされた方への振替レッスンなど新しいサービスを設けることにより、レッスンを予定どおり進めることができる仕組みになっています。
誰でもどこでも同じレッスンを受けることができる、ということを基準に置いて考えることで、こうした仕組みが整備されてきました。

これからのビジョンについて

− 最後に、今後、ISO29990・29991の活動を通じて、シェーン英会話をどのようなスクールにしていきたいとお考えでしょうか。
今後のビジョンについて、ぜひお聞かせください。

是枝 英語は日本だけでなく、東南アジア、アフリカなど非英語圏で需要があります。
我々はISO取得によって、国際的な事業展開をする足がかりをつかむことができたと考えています。
栄光グループでもシェーンを通じて国際的な展開ができればと思っています。
まずは国内事業を固めた上で、国外にも展開していきたいですね。

国策としてもサービス業の輸出、という考え方がありますので、その動きに乗ることができればと思います。

プロフィール

株式会社シェーンコーポレーション 代表取締役社長
是枝 正隆 様

株式会社シェーンコーポレーション 代表取締役社長  是枝正隆 様
シェーンコーポレーション スクール事業本部 飯田橋運営課 課長 小倉眞樹様
栄光ホールディングス 広報室 室長 横田保美様
栄光ホールディングス 広報室 課長 徳高玲子様

シェーンコーポレーションが運営するシェーン英会話の詳細はこちらから。

掲載日 2014.10.15