企業の中には独自の教育スキームを持ち、現地スタッフの育成にあたっているところもあります。
今回のベトナムの技能試験が日本方式を導入したことについて、ベトナムの日系企業からは人材育成、技能向上の手段として、大変有効であると評価を頂いています。
特に、会社にとって大きなメリットとして、安全衛生を会社全体として見直す機会となり、今までの自己流から適正な加工法を学んだということ。
そして、国家検定の継続実施の希望、適正な額であれば、今後は受検料を負担することも検討されているようです。
認定された技能の有効性や活用についてご説明すると、社内では労働者の技能習得意欲の増進や合格者に対する処遇改善に役立っています。
また社外においては、社会的地位の向上、再就職に当たっての評価の対象となり得ることが有効です。
一般論になりますが、「国内どこでも認められる」といった一定の基準で評価する検定試験は、合格しようというチャレンジ精神を生むこととなり、「合格すれば評価される」という点で、受講者・受検者のモチベーションは維持できると考えられます。
海外での人材育成で大変なことは、言語によるコミュニケーションに加え、日本の企業文化、働き方に対する考え方の違いを克服することが大きいと思われます。
個人的には、日本のものづくりの現場力には自信を持って良いと感じています。ただ、相手国の習慣や歴史、決定までのプロセスを認めた上で進めていく必要があります。
たとえば、ベトナムにも私たちJAVADAのような組織があったほうがいいのではないかと提案したことがありますが、ベトナムは政府主導で行い、既存の組織を評価センターとして認定し、新たな組織は作らないとハッキリと言われました。
相手国を認めた上で、上手くいっていること、いっていないことを正直に話しながら、物事を進めていくことが大切です。
ベトナムでは裾野産業における人材育成に重点に取り組んでいることから、JAVADAでは金型関連職種を中心に、技能検定が継続して普及拡大していくよう支援に力を入れていきたいと考えています。
今後、旋盤を体系的なモデルとして、受検者増や他校への水平展開、民間企業との連携強化を進め、上位級導入を目指すことが一つの方向となっています。
また、フライス盤など他職種への導入拡大も目指していきたいと考えています。
そして、ベトナムだけでなく、インドネシア、タイなど、既に日本式の技能検定を部分的に採用している国や、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど今後、技能検定を導入する予定の国に対しても、日本のものづくり基盤となる日本方式の技能検定試験が円滑に移転され、各国の技能者の能力向上につながるように、私たちは支援を続けていきたいと思います。