ISO29993
ISO29993とは
◆ISO29990廃止を受けて
ISO29993は2017年8月に発行された「公式教育外の学習サービス-サービス要求事項」です。
従来のサービス規格ISO 29990:2010は、学習サービス要求事項とマネジメント要求事項を含んだ「ハイブリット規格」であるため、それぞれを分離した後継規格が発行されたことを受け、2018年12月に廃止されました。
後継規格にはISO 29993:2017(公式教育外の学習サービス-サービス要求事項)、ISO 21001:2018(教育機関 – 教育機関のためのマネジメントシステム – 要求事項及び利用の手引)が発行されました。
ISO29993は、「無形の商品」である学習サービスの質を担保することで、学習者及び学習サービス提供者双方にメリットが得られるような仕組みを目指します。
従来のISO 29990と比較すると、学習リソースの概念が整理され、学習成果と学習サービス双方の「評価」の重要性を明確に記した内容となりました。
◆ISO29993 概要
■規格名称
公式教育外の学習サービス-サービス要求事項
(原文:Learning services outside formal education — Service requirements)
■規格範囲
生涯に渡る学習を含んだ公式教育外の学習サービス
■規格目的
質の高い学習サービスとその提供を構成する要素を規定し、公式教育以外の学習サービスを対象とした汎用的なモデルの提供。
■規格の対象と想定される我が国の機関
・公式教育を補完した学習塾
・英語教室に代表される語学教室
・民間職業訓練機関
・資格取得を目的とする民間教育事業者
・企業内研修を請負う事業者
・生涯学習を支援する各種講座・教室 等
■規格内容のポイント
・学習サービスの質に焦点をあてたサービス規格
学習サービスの運用を反映した構成となっている。
・学習サービス事業者の情報提供に関する要求事項の拡充
「無形の商品」である学習サービスについての情報要求事項を拡充し、学習者・スポンサー等へ正確・十分な情報の提供を定める。
・学習リソースの定義化
ISO 29990では整理が不十分だった「学習リソース」を、教材、人的リソース、環境、情報等から成るものと定義した。
・学習サービス事業者の行う「評価」の定義化
ISO 29990では不明確だった学習サービス事業者の行う評価に関する用語を、それぞれ「学習成果に対する評価(assessment)」「学習サービスに対する評価(evaluation)」「学習の進捗状況に対する継続的な観察(monitoring)」と定義し、要求事項を整理した。
◆ISO21001 概要
■規格名称
教育機関 – 教育機関のためのマネジメントシステム – 要求事項及び利用の手引
(原文:Educational organizations — Management systems for educational organizations — Requirements with guidance for use)
■規格範囲
教育機関のためのマネジメントシステム
■規格目的
学習者及びその他利害関係者の要求事項に適合した、教育製品・教育サービス事業者のための共通マネジメントツールの提供。
■規格内容のポイント
・教育機関を対象としたマネジメントシステム規格
可能な限り現行のISO 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)との整合性を確保。
・要求事項の整理が必要
「教育機関のマネジメントシステム」と「教育サービス」、「評価」に関する要求事項の整理等が不十分であるため、発行後見直し検討がなされている。
現在正式和訳無し。
◆関連リンク
一般社団法人 人材育成と教育サービス協議会(JAMOTE) http://www.jamote.jp/
財団法人日本規格協会 http://www.jsa.or.jp/