一級建築士
坂井 真紀子さん
試験を通して得た自分の知識がこれからどのくらい生かせるか楽しみです。
きっかけは・・・
私は、大学で4年間、大学院で2年間建築を学んだ後、海外で6年間設計事務所に勤めていました。
実際に社会にでて仕事をしていく中で、より専門的な知識やプロジェクトをまとめる総合的な力を身につけたい、また自信をもって仕事をするために1級建築士の資格の必要性を感じていました。
そこで2年前、帰国と同時に資格をとるべく勉強をはじめました。
学科試験合格までの道のり
1級建築士の試験は、学科試験と設計製図の試験、2段階に分かれています。設計製図の試験は学科の試験に合格しなければ、受験することができません。
学科試験は計画、環境・設備、施工、構造、法規の5科目に分かれています。
私は学科を独学で始めたのですが、すぐに壁にぶちあたりました。
法規以外の内容は大学の講義で1度やったことがあるものでしたが、広範囲にわたって膨大な量を覚えなければならず、暗記が苦手な私にとっては非常につらいものでした。
また、法令集を手に取ったのは初めてのことで、言葉の言い回しも専門的で何からどう初めていいのか全くわからない状態でした。
当時、友人の勧めで製図は日建学院と決めていた私は、担当の方に自宅にいながら好きなときにWeb上で講義を見ることができるコースを紹介していただきました。
それまで全く分からなかった法令集の引き方をはじめ、苦手だった施工も映像を見ながら確認できるなど、非常に有益なものでした。
さらに、資格学校が開催している公開模試を可能な限り受けました。
受け終わった後も問題文や解説を何度も読んで復習するだけでなく、独自に分析を重ねました。
そのおかげで初年度ながら3ヶ月という短期間で学科試験合格を勝ち取ることができました。
しかし、それだけで喜んではいられません。
すぐに設計製図の試験がやってきます。
即日設計で6時間半ぶっ続けの体力的にも精神的にもつらい実技試験です。
6時間半のうち時間をどう使うかは本人の自由です。
私は学校で教わった通り、問題文読解に30分、エスキスに2時間、記述に1時間、作図に3時間という時間配分で取り組みました。
講師と二人三脚で取り組んだ難関の実技試験
試験内容を聞いた当初は、6時間半も休みなしで集中が続くだろうか、3時間で図面を描き終えられるだろうか、エスキスがまとまらなかったらどうしようなど、不安でいっぱいでした。
1番初めは1時間で書かなければいけない記述に2時間以上もかかりましたし、3時間で描き上げなければいけない作図に5、6時間もかかってしまいました。
学校の講義では問題文の読み方、チェックの仕方、エスキスの進め方、記述の文章の書き方、作図をいかに3時間以内で描ききるかなど、基本的なことを細かく教わり、それを何度も繰り返すことで、徐々に目標時間内に描きあげられるようになりました。
分からないことがあればすぐに講師の方々に聞くことができましたし、またグループ学習を通して、他の人がどういう風に設計しているのかを見ることができ、質問しあったりして刺激し合うことで、自分の力を確認できるとともに、自信につなげていくことができました。また、製図試験は毎年テーマが違います。近年には図書館、介護施設、事務所ビルなどが出題されており、今年は大学のセミナーハウスでした。
テーマは製図試験の2ヶ月半前に発表されるのですが、短い期間、試験直前まで講師の方々が一丸となって様々な事例を調べ、分析し、研究を重ねてくださいました。
どんな試験問題が予想されるか可能性を探り、どんな問題が出ても対応できるように万全の用意をしてくださいました。
これには、本当に感謝しています。
試験勉強の中で得た経験とこれから・・・
通常の設計では6時間で設計するということはなく、何ヶ月もの検討を積み重ねるわけですが、この試験勉強の経験から、あらゆる事柄を総合的に判断し、まとめていく力が身につきました。
学科で使った法令集は、今では自分の宝物になりました。
学習の際に線引きやマーカーをチェックなど、重要な部分やよく使う部分が一目で分かるようになっていて、現在の仕事でも活躍しています。
実際の実務は、様々な要素が絡み合い、より複雑なものです。
その中で試験を通して得た知識を活用し、現場でも自信を持って対応していくことができると思います。
これからどのくらい自分の知識が生かせるか楽しみです。