株式会社ミクシィー メディアビジネス推進室 マネージャー
大森 和悦 様
JADは、平成23年10月4日(火)『平成23年度 第1回 能開カレッジ』を開催致しました。
株式会社ミクシィ メディアビジネス推進室 マネージャーの大森和悦様を講師にお招きし、『進化するSNSの現状と教育関連業界における活用の可能性』と題し、ご講演いただきました。
当日の講演の模様をお伝えいたします。
SNSの利用のされ方
「mixi」は、多くの方にプロフィールを公開するのではなく、プライベートで仲の良い友人・知人とのコミュニケーションを中心に利用されております。
みんなでわからない所は補い合って学習していくソーシャルラーニングとでも言うような新たな使われ方もされていたりします。
ただ、学校側としてこの状況にどう向き合っていくのかというのも今度考えていく必要があるかと感じています。
就職活動におけるSNSの活用で申し上げますと、忙しくてなかなか会えないときにでも、「mixi」を通じ、活動時における悩み相談や、お互いに励まし 合うなど、仲の良い友人・知人だからこそのコミュニケーションをしていただいているようです。
「mixi」ではなく、ビジネス利用のための他のSNSでは、自己アピールの場として活用することもできるのではないでしょうか。
「mixi」などのSNSを、プライベートで利用されている方もいれば、パブリックな使い方をされている方もいらっしゃいます。
使い方はユーザー様に よって多様ですが、「mixi」の場合は投稿の公開範囲を設定できるので、多くの人に公開する内容とプライベートでつぶやく内容と分けてお使いいただくことができます。
自分の投稿の公開範囲をよく理解し、コントロールはしっかりとしましょう!というのは一つの大きなポイントといえます。
SNSは、リアル社会をインターネット上に移したようなものです。なので、実社会のルールと同様にしてはいけないことなど、常識の範囲内でコミュニケーションを行っていただければと考えています。
話は変わりますが、就職時に資格取得の有無が有利にはたらくかどうかという点では、わたしたちは、資格有無の事実よりも、なぜその資格を取ったのか、どのようなキャリアを積みたくて資格を取得したのかという背景にあるものを重要視します。
特定の資格を持っているから優遇するということはありません。
しかし、スキルアップのために資格を取得されている方は魅力的ですし、努力している方は素晴らしいと思いますので、その辺りが伝わるようにすると良いのではないでしょうか。
SNSは、人間の根源的欲求である“コミュニケーション”を支えるサービスです。
いかに人とつながりコミュニケーションすることに興味があるのかをアピールできるとよいかもしれません。
ソーシャルメディアの現状とこれから
「mixi」は、東日本大震災以後、ユーザーの利用が伸びており、現在も利用状況は上向きのまま推移しています。
株式会社mixi 3.11の震災時、電話が通じない、メールの送受信ができないといった時にも「mixi」はにログインいただくことができました。
「mixi」では最終 ログイン時間が表示されることから、ログインするだけでもつながっている友人の生存を確認できましたし、友人知人にメッセージを送れたり「mixi」内のつぶやき機能でコミュニケーションできたりと、いざという時に役立つコミュニケーションツールとして見直されているのもあるでしょう。
震災以降、「mixi」から離れていた方も再び「mixi」を利用いただけている傾向にあります。ようやく、ソーシャルメディアというものが、コミュニケーションイ ンフラとして世の中に認めてられてきたのではないかと感じています。
他のソーシャルメディア、たとえばFacebookやTwitterは競合かと聞かれることも多いのですが、「mixi」とは、使われ方が異なるため、共存できると考えています。
「mixi」では、仲の良い親しい友人とつながっていただき、気軽なコミュニケーションにご利用いただいておりますので、今後も「mixi」ならではのプライベートな友人とのつながりやすさや、コミュニケーションの楽しさ・便利さを提供していきたいと考えています。「mixi」は、日常的にご利用いただけるコミュニケーションのインフラとして引き続きサービスの拡充に努めていきたいと考えています。
目指すのは、「mixi」という存在自体が意識されない世界。電気や水道などは普段の生活の中でおそらく無意識に使用されているかと思われますが、これらのインフラと同じように「mixi」という存在も生活の一部として受け入れられ、ごく自然にご利用いただけるように各種サービスを強化していきたいと考え ています。
たとえば、テレビと連携することで、番組を観ている時に友人はこの番組を観ていたらどのように感じているだろうか、といったことも「mixi」で確認することができたり、また既にスタートしていますが、スマートフォンの電話帳と「mixi」の友人の情報を同期でき、簡単に電話をかけることもできます。
さらに、デジタルカメラで写真を撮影した瞬間、自動的に「mixi」の自分のフォト写真アルバムにアップロードすることができる機能もあります。
これらはほんの一例ですが、日常のいろいろなシーンで、意識せずとも、みんながつながっていてより楽しめる、より豊かなコミュニケーションができる世界を作りたいと思います。
教育事業者におけるSNS活用
性別や年齢を登録するようなサービスの場合、年齢や性別、趣味などのカテゴリーにおいてもターゲティング広告を打つことができます。たとえば20代の女 性に向けて化粧品の広告を出すことなどが可能です。「mixi」では現在、通信教育関係の企業様にも通信教育講座の告知としてターゲティング広告を出していただいていますが、「mixi」の他サービスとの違いは「友人同士のつながり」があるということ。
これからは、このつながりを活かしてバイラルするよう な広告の事例を増やしていければと考えています。また、今年の8月から「mixiページ」という新サービスがはじまりました。
エンターテインメント業界や飲食業界、旅行業界に加え、教育業界からもご活用いただいています。
たとえば、専門学校様の場合ですと、体験入学の告知・申し込みといったかたちでページを作成いただいています。
他にも、個人で生け花教室を開いてらっしゃる方がスクールのページを開設し、そこで生徒さんとコミュニケーションをとられているなど、大きな所から小さな所までさまざまなかたちでご活用いただいています。ただ、まだ活用の芽が出始めた所ですので、本格的に運用されるのはこれからといえます。
教育関連で申し上げますと、たとえばターゲットが10・20代の男女の場合ですと、自己研鑽欲のある方がたくさんいらっしゃいますので、ターゲットに対して自然なかたちでコミュニケーションができるような「mixiページ」を作成いただくのがよいと思われます。
ミクシィが求める人物像
株式会社ミクシィは、様々な国籍の社員がおります。
中国人やインド人や、ブルガリア人など様々です。
ですから、あまり国籍を意識して採用することはありません。
では、どのような所に重点を置いているかと申しますと、コミュニケーションサービスを提供していますので、コミュニケーションが好きであることに加え、積極的に自身のやりたいことをやり遂げる力を持っていること、広い視野を持っていることや、お互いの立場がわかる、お互いを尊重し合える方であるか、などを重要視しています。
また世の中の動きに敏感で、それが「mixi」に対してどのような影響を与えるか、SNSというサービスの今後の使われ方がどうある べきかに関心を持ち、つねに考えている方。
基本的にはお互いを尊重し合え、自分の持っているバックグラウンドから新しい提案ができる方がよいと思います。
就職活動に資格を持っていた方が有利かどうかという点について、ミクシィ社では、特にこの資格を持っていると有利というようなものはありませんが、その資格をなぜ取ろうと思ったのか、取得までの考えや過程などを評価することはあります。
また、わたしたちのグループ会社では、求人広告事業を行う「Find Job!」事業というサービスを提供しているのですが、この「Find Job!」には、求職者が応募するというアプローチと、企業が募集する、または会員の中からスカウトするという両方のアプローチがあり、企業が検索する際には資格から検索できる機能もあるため、そういう面では、求職者側からすると、その企業で働くにあたって必要な資格を持っていた方が有利だといえることもあると思います。
しかし、資格の有無よりも、それぞれが相手の立場に立って物事を考えるというようなことの方が大切なことです。
同じ日本人だとか、海外の人だとか、あの 人の考えは違うから、というのではなく、人それぞれが持っている個性や価値観といったものを大事に、いろいろな考えを幅広く受け入れられる度量の広さを持つように努力することが大切です。
多様な価値観の中でどういう道を行きたいのかという筋道を持って話せる人であれば、お互いの価値観を尊重し合い、仕事で 良いパフォーマンスを発揮できるのではないかと思っています。
ソーシャルメディアの持つ力
東日本大震災以後、身近な友人・知人とつながっていることから、安否確認などに使われたことで「mixi」はコミュニケーションインフラとして再認識さ れ、利用者数も増加しており、ソーシャルメディア自体の信頼度が上がってきています。
情報収集の観点からみても、SNSでつながっている身近な友人・知人 のが言っていることというのは、情報として信用できますし、友人にとって価値が高いのです。
このように、東日本大震災以降、実際の友人知人とつながっているということの意味や、そのつながりからバイラルする可能性など、ソーシャルメディアの力を体感され、あらためて「mixi」を活用いただいている企業さまも増えてきています。
講演者プロフィール
株式会社ミクシィー メディアビジネス推進室 マネージャー
大森和悦 様
【株式会社ミクシィ ご紹介】
1997年にオンラインで企業が求人広告を出稿、求職者が応募できる求人サイト「Find Job !」をスタートさせました。
1999年に法人化し、2004年より、実社会でつながる友人・知人と便利に楽しくコミュニケーションしていただける”リアルアイデンティティ”のソーシャル・ネットワーキングサービス「mixi」を提供。
ユーザー数は2,471万人、うち月間利用者数は1,535万人を超えるほどに成長しました(2011年7月現在)。
この「mixi」の提供に伴って、2006年に現在の「株式会社ミクシィ」へと社名を変更しています。
2011年4月には、これまで求人広告事業を行っていた「Find Job !」事業を「株式会社ミクシィ・リクルートメント」として分離させ、現在は、「mixi」というウェブサービスの運営に特化した、従業員数約500名、平均年齢30歳弱の企業として活動しています。
今後も新機能の提供、改善に努めるとともに、全ての人に心地の良いつながりを提供し、誰もが主役になれる世界を創造することを目指しています。