Career Park(キャリア・パーク)
根本 暁美様
平成30年2月10日(土)、中野サンプラザにて、セミナー「ライフキャリア~学ぶ生き方・学びを活かした生き方~ 」と題した講演会を開催しました。 本講演会は、平成29年度 キャリア形成支援シンポジウム(第一部 講演会、第二部 第28回 優良講座優秀者表彰式、第三部 第28回 優良講座優秀者表彰式交流会)内にて行われ、100名を超える方にご出席頂きました。今回は、 キャリアコンサルタントの Career Park(キャリア・パーク) 根本 暁美様をお招きし、学ぶ生き方や学びを活かした生き方について、お話をお伺いしました。
ライフキャリアとは
只今、ご紹介いただきました根本暁美と申します。
本日、表彰を受ける皆様おめでとうございます。
タイトルが、「ライフキャリア~学ぶ生き方、学びを活かした生き方~」ということで話をさせていただきます。
「ライフキャリア~学ぶ生き方、学びを活かした生き方~」ということなのですが、ライフキャリアがそもそも何なのかというお話や私自身の体験談・経験談をふまえながら進めさせていただければと思います。
キャリアという言葉を聞く機会はあるかと思いますが、キャリアという言葉に皆さんは、どのようなイメージを持っていますでしょうか。
私がこの質問を色々な方にさせていただくと、仕事、出世、成功という答えや、若い学生さんに質問をすると擬音語でバリバリバリバリ働くそのようなイメージだと言います。
キャリアの語源は2つあると言われています。1つ目は、馬車。ある地点からある地点に移動するのに使われていました。皆さんは、自分が馬車を利用するとすればどのような馬車を選びたいですか。スピードが出るものなのか、最近で言うとハイブリッドなタイプなのか、それとも安全性重視でセーフティ設備がついているものなのか。電気自動車、スマートアシスト、いろいろな種類が出ていますけれども、そう言った乗り物を表す馬車。もう一つは、轍という意味です。轍というと若い方には聞きなれない言葉かもしれませんが、道という意味です。みなさんがこれまで歩かれてきた道、足跡という風に解釈しても良いです。
サニーハンセンというキャリア心理学者がライフキャリアに関して、こんなことを言っています。ライフキャリアを構成するには、4つの要素がある。全て英語のLで始まる言葉です。どんな言葉かイメージできますか。1つ目は、LaborのL、労働というニュアンスの方が強いかもしれませんが仕事という意味でのLです。次は家族との関係や子育てをする時に愛情をかけますけども愛情をあらわすLoveのLです。3つ目は、学習、学びということでLearningのLです。4つ目は、仕事以外の活動、余暇という意味でLeisureのLです。Labor、Love、Learning、Leisure、4つのL。これがライフキャリアを構成しています。たった1つではなくて、この4つが組み合わさって、意味あるひとつのものになるとハンセンは述べています。ただ、キャリアというと単にワーク、仕事で語られることがありました。学校を卒業した後、かつてはほとんどの方が、会社等、社会へ一斉に出たと思います。そして年齢と共に役職についたり、ポストアップして、ある一定の年齢がくると会社を去って引退して過ごします。このような当時のライフキャリアで多かったのではないかと思います。以前、女性は、入社しても結婚したのに辞めないのとか、子どもが出来た時に辞めないのとか言われていました。多くの女性が結婚もしくは出産を機に会社を辞めるというのが女性のライフキャリアであったと思います。では、男性はどうなのでしょうか。奥様が家庭をしっかり守っていますので、大いに仕事や仕事関係のお付き合いに力をそそぎます。このような時間の過ごし方だったと思います。しかし今は、どうでしょうか。学校を卒業しても皆が一斉に社会に出て会社に入るという流れとは少し違っています。学校を出たあと、留学という形で海外に行かれる方もいらっしゃいますし、中には学校を卒業したと同時に起業するような人もいます。働くフィールドも日本に限定しないような方々も増えているような気がします。先ほど申した轍に多くのバリエーションが今では生まれています。
中には男性で主夫の方や母が単身赴任だというような話を先日、学生さんから聞きました。また、人生というのは色々な事が起こります。思いがけずに病にかかるようなことがあります。テレビコマーシャルでお耳になさった方もいらっしゃるかもしれないのですが、(ながらワーク)癌を患った方が治療をしながら働くなどもう私たちの生活に起きることがワークに影響を与えないことのほうが今や少なくなっているのではないかと思います。ですので、仕事だけでキャリアを語るのではなくて、生活と仕事、全体としてライフキャリアを考えましょうというのが、今の時代の流れになっています。さっきお話をしました馬車、どのような乗り物に乗り込みたいか。これは、私たちの外側に起きていることですので、同じキャリアでも外側にある外的キャリアという風に理解しても良いのかもしれません。一方で、轍のほうですね。皆さんは、どんな道をこれから歩んでいかれたいでしょうか。今までどんな道を歩まれてきたでしょうか。このあたりのところについては、自分の内側の価値観にも紐づいてきますので、内的キャリアという風にお伝えしてもよろしいのかと思います。
時代がいろいろ変化をしている。内的キャリアが多様性を帯びています。個人のキャリアというのは、自分と外側の環境との相互作業ですので、時代が変わってくれば、個人のキャリア感も変わってくるのは、至極当然のことではないのかなと思う。
人生100年時代の働き方について
改めてですが、非常に人生が長くなっています。皆さんは、日本人の平均寿命というのはご存知でしょうか。男性、女性どちらが長いというのもご存じでしょうか。これは昨年夏のデータなのですが、
女性は、前年と変わらず世界第2位の寿命の長さで、平均寿命が87歳。一方で、日本人の男性はどうなのか。日本人の男性も80歳ということで、これまで世界第4位あたりだったのですが、昨年夏には男女そろって世界第2位になったそうです。
ここ数年、人生100年時代という言葉がよく耳にする機会があると思うのですが、昨年、ライフシフトという本が沢山の人に読まれました。リンダ・グラットンさんというイギリス人の女性が書かれた本です。人生100年時代構想会議のメンバーにも入っているそうです。そこで、書かれている主だったところをピックアップすると、日本で2007年に生まれた人の半分が107歳まで生きると書かれています。2007年というと現在は10歳です。皆さんの周りの10歳の人は107歳まで生きるであろうと言われているそうです。そして、寿命が長くなっているので、年齢にとらわれない多様な学びや働き方をそろそろ考えて言った方が良いのではないかと書かれていました。会社にお勤めの方もいらっしゃると思うのですが、いろんな企業で定年のあり方もすごく議論されている状況かと思います。皆さんの勤めている会社の定年は何歳でしょうか。多くの企業が、60歳で定年、そのあと再雇用というところが多いのではないでしょうか。最近では、65歳に定年をひきあげよう。それ以降、再雇用で70歳くらいまで働いてもらおうかなというお話も耳にすることがあります。もしかしたら、70歳ではすまないかもしれない。75歳くらいまでは、なんらかの形で私たちは働くという機会を得るかもしれないですし、もしかしたら、定年という概念が変わったりなくなるかもしれない。人によっては、そこまで働かないで、新しいステージに行くと決めるかもしれない。ライフシフトのなかでも、これから日本人がどんどんどんどん寿命が延びると教育、仕事、引退、この3つのステージで終わりというわけにはもういかなくなると書かれています。私が前職、会社員だった時、多くの上司が定年に近づくとこんなフレーズを言っていたことを記憶しています。「俺も、もうそろそろ一丁上がりだよ」。最近は耳にされない言葉かもしれないですが、よく定年が近づくと上司が一丁上がりだと話していたのを記憶しています。これからは、色々な多くの人がいっちょうあがらないような時代だと思います。
アンラーニングという考え方
皆さんは、人生が長くなると聞いて嬉しいですか。こちらにお見えの皆さんは、いろんな知識を習得されてあんなことやこんなことをやってみようという風にきっと意欲溢れるみなさんだと思います。
2年前にある雑誌で取材を受けたことがあります。「学ばないと生き残れない」というテーマでした。副編集長が自分のキャリアについてキャリアコンサルティングをうけたいとそういう設定で体験取材に来られました。その方が、40代後半の男性でいろんな話をしてくださりました。自分が手掛けたイベントだとか、出版物とか本当にイキイキと仕事の話をされました。ですが、仕事以外の話をされませんでした。私の方で、では1つ質問良いですかと伝え、「定年以降はどんな風に過ごしてみたいですか」と聞きました。その男性が、きょとんとした顔をして「えっ?」と何回もおっしゃる。だから私は、変なことを聞いてしまったのかなと思ったのですが、その方がおっしゃったのが「定年後のことを今まで考えたことがなかった。だから今、質問を受けてびっくりしています。」そんな風にお話しをなさっていた。定年と同時にその方のライフキャリアが終わるわけではありません。まだまだその後も続くため、私としてはそのような質問をさせていただきました。確かにその方は今までの仕事をすごく一生懸命やってこられました。ただ、大事な今までの自分が培ってきたものを、ずっとずっとずっと握りしめていると、なかなか隙間がないので新しいものが入ってきません。全てを手放すのは、とても勇気がいるのですが、少し握った手を緩めて、少しずつ手放すことによって、また新しい事が入ってくる。自分をアップデートすることが出来るのではないかと思います。
この状態をアンラーニングという言葉で表現されることもあります。
学ぶこと、学んで培ったものを少し手放してみるそういった考え方になります。実際、現場でキャリアコンサルティングをしていても、ここ2年くらいは50代の男性からの相談が増えています。時代がいろいろ変わってきているので、定年後も動いていかなければならなくなってきています。年齢によっては60歳定年で、会社から、残りますか、辞めますか、といろんな選択肢を迫られます。気持ちが揺れる。今まで、一生懸命、ライフキャリアの真ん中に‘働く’を置いてきた方にとっては、非常に悩ましいことなのかなと思います。
自分のライフキャリアをリデザインする
ところで、生涯労働時間という考え方を聞かれた方はいらっしゃいますか。
生涯でどれくらい働くことに時間を費やすのかとうことです。人生を80年と仮定した時に、私たちはどれくらい働くのか。人生80年、日数に換算すると、2万9200日だそうです。時間だと、70万800時間。その中で40年間働いたとして、40年間の内、仕事をする日は67%だそうです。人生80年間で考えると仕事をする日数は34%。
時間にしたときには、40年で働く時間は、28%。80時間では、14%だそうです。
私自身、この数値を知った時に思うところがありました。改めて、自分の手持ちの時間をどのように捉えデザインしたらよいのかと思わせてもらった数字でした。
先ほども話をしましたが、「人生が100年に長くなります」とお伝えして、周りで「やった!」と小躍りするような方はいませんでした。数年前にある企業で、働き方に関するセミナーをさせていただいたときに、1日1時間、仕事から解放されるとしたら、その時間を何に使いたいかを質問させていただきました。皆さんはどうでしょうか。地元で少年野球の監督をされている方は、トレーニングが出来ると喜んでいました。多くの方がうーんと困ったような顔をされた。1時間早く帰ると家事を手伝わされるので、遠回りして帰るというような方もいました。1日1時間で困るようであれば、人生長くなって、60歳、65歳以降の時間をどう考えるかを悩んでしまうだろうと思いました。
人生が100年かどうかは、別にして、今のまさにこの時代は、私たちが自分のライフキャリアをリデザインする、そのタイミングに来ているのではないかと思います。平成28年4月に職業能力開発推進法という法律が変わりました。これは、働くことに対して会社任せではなくて、自分で自分の職業生活を設計して、自分で自分の能力開発に責任を持ち自分が所属している会社や組織に任せるのではなく能力開発してくださいといった法律に変更になっています。生きていくのであれば豊かな時間を過ごしていきたいと思います。そのために、学びというものは活かせるものではないかなと思っています。どうも、私たち日本人というのは、学びは学生時代限定のものという風に捉える方が非常に多い。総務省の平成28年度社会生活基本調査(時間を何にどれくらい使っているかという調査したもの)では学習時間の項目をみると日本人は、20歳〜24歳が学習時間のピーク。その後は下がる一方そうです。社会人については、一日の学習時間が30分以下。なかには、7分以下というデータもあるそうである。いかに私達のライフキャリアの中で、学ぶ時間が少ないということが分かると思います。皆さん毎日お忙しいと思います。今日お見えのみなさんはお忙しい中で、どんな風に時間を生み出して学ぶということにあててこられたのかぜひ、お聞きしてみたい。きっと色んな方法で時間を生み出してきたと思います。実際に学ばれた知識だとかスキル以外にタイムマネジメントというような力も身につけられていると思います。タイムマネジメントの力が身につくというのは、忙しい現代人にとって、非常に大きいです。
インプットをしないということは自分のアウトプットに変化がおきない
皆さんは、どうして資格をお取りになろうと思われたのでしょうか。何かキッカケが人それぞれおありだったかなと思います。私自身、2005年に、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。最初から資格を取ろうと思って向かっていたわけではなかった。当時、なんとなく自分で私は本当に何に興味をあるのか考えていて、本当は何を大事にして生きていきたいのかを考えるような時期だったと思います。
立ち止まるタイミングってそれぞれ皆さんお持ちではないかと思う。ライフキャリアレインボーは、スーパーという方の理論になります。人は生まれてから、1つだけの役割で人生が終わるのではなくて、生まれていた時はだれかの子どもという役割でスタートします。年齢がくると学生、社会人、妻や夫であったり、父や母であったりする。いろんな役割をステージに応じて変えながら生涯を過ごしていく。そういった考え方になります。
当時の私はこのライフキャリアレインボーでいうと、職業人、働く人の割合が占めているような状況でした。ある日、このままでいいのかと思うキッカケがありました。非常にお恥ずかしいエピソードなのですが、当時私が住んでいた部屋でクローゼットを開けたときにほとんどがビジネススーツでしめられていました。ほんのわずかに部屋着があるだけで、その光景を改めてマジマジと見たときに我ながらぞっとしてしまいました。私は何をしてきたのだろう、このスーツのこの量は何なのだろうと思いました。当時世の中は栄養ドリンクのコマーシャルがはやっていました‘24時間働けますか?’という内容でした。やっぱりこのままではいけないと思って、自分のこれまでを振り返りました。その時に私が大事にしたいと思ったキーワードは‘人の開発、成長、自分の成長、変化’、そういった言葉が出てきました。キャリアアンカーという考え方があります。これはエドガー・シャインさんという方の理論ですが、人が大事にしたい節目・選択に迫った時には、興味・強み・価値観のどれが大事でどんな風に活かして選択していくかを考えるのですが、轍のほうです。私自身、自分がどんな時に興味あることや、やりがいを感じていたかを振り返ると楽しかったという時は、決して楽な日々ではなかった。楽だから楽しいとは違いますよね。多くの人に囲まれて自分がマネージャーとして、様々な人たちに関わっている時がそれでした。私は人におせっかいを焼いているとき、そういう時にやりがいを感じると思いました。そしてタイミングよく、キャリアカウンセリングの勉強が出来るらしい。アメリカから入ったらしいよという言葉を耳にした。資格の説明会に足を運びました。学びを始めるにしたがって、色々なことに気づきました。忙しいことを理由にして外から学ぶということが足りていませんでした。全く出来ていませんでした。社会人として10数年たっていましたので、職場での立ち居振る舞い方や仕事で求められる能力がどういうものなのか、これは当然自分で解っている。インプットをしないということは自分のアウトプットに変化がおきないということ。非常にそこは、はっとしましたね。自分の大事にしたい言葉の中に自分の変化という点がありますので、インプットしていかないままだと興味が減ってきてモチベーションが減ってきて、つまらない社会人になってしまうのではないかと思っています。ですので、今でも、学びというものを意図的に続けています。これから続けていきたいと思っているのは、こういった事が経験のベースとしてあったからになります。私自身、キャリア開発の学びを通じて得たことが2つあります。これは、学びが私にもたらしてくれたギフトだと思うのですが、例えばキャリアコンサルタントの資格というのはこういう人を支援したいという風に目的意識を持って講座に通われる方も多かったです。人に何かをしたい、提供したいという気持ちというのは、矢印が自分自身に向き合うことが学びとして多かったです。そして、学んでいく中で、自分の考え方や生き方を肯定的に捉えなおすことが出来るようになってきました。その後、私は会社を退職するのですがそうすると、もうスーツしか持っていないような生活をしていたので、自分で決めた選択とはいえどこか喪失感を感じながら日々を過ごしていました。丁度その時に出会ったのが、ライフキャリアインボーという考え方だったのです。ああそうか。私は今、また学生であり学ぶ人の役割に時間を使っているだけで、決して何か働く職業人の役割が消えてしまったわけではない。また学んだことを糧に社会で働くという違うステージが待っているかもしれない。肯定的に自分のステージの変化をとらえなおすことができたように思っています。
改めて、キャリアコンサルタントの勉強をする中で、資格を取得するところはもちろんですが、自分の仕事や生活にしっかりと意味づけをすることができたような気がします。
そして、知識とか修得だけなく、学ぶという意味がさらに私にとって広がったと感じました。
ギフトのその2は、多分皆様も同じではないかと思うのですが、学びの場に行くことによって、それまでそこに居続けたら知り合えない人達との出会いです。どうしても自分ひとりの経験だと自分ひとりの価値観やものの見方になってしまいます。学びの場に行くと年齢も違う、今までの経験も違う。こういったことは大事なギフトになっていると感じます。
皆さん、こんな質問を聞かれたら、どう答えますか。「皆さんにとって、よく日頃コミュニケーションをとる人、家族以外で3人から4人を頭に浮かべてください」この質問に対して、1、2、3、4に会社関係の人が浮かんだ時にはこれはアラームだそうです。非常に自分がクローズな環境にいる。ですので、4人の中にいろんな国籍だったり、メンバーだったりというネットワークを築けると良いと言われています。長い人生を生きるためには資産は大事ですよね。お金以外の無形資産が大事だとライフシフトの本では書かれています。私自身、学びの場で出会った様々な年代や経験を持つ人のネットワークというものは今でも有効なギフトとなって、いろんなものを与えてくれています。友達になれないような1つも2つも違うジェネレーションの友人を得る。こんなことも本当に素敵なことだなと思います。きっと皆さんも、学びを通して、ご自身の新たな面を発見しネットワークを持たれたと思います。まさに、皆さんは、学びの実践者と言えるのではないかと思います。
学ぶということ
学ぶということに対して、まだまだハードルが高いという方も多いです。私はそんな方々に色々なことをご提案するのですけれども、今、ワークライフバランスという言葉が熱心に色々なところで発信されたり、耳にされたりすることも多いと思うのですが、ワークかライフかというよりは、ライフキャリアにおける時間のバランス。これをステージごとで考えたらどうですかというような提案をさせていただいている。例えば、働く力をつけるステージというのは当然社会に出て間もない頃は稼ぐ力、経済的に自立する力をつけるためにどうしてもワークの時間が長くなるのは致し方ないことだと思います。やはりそれが永遠に続くというのは、いつまでたっても長時間から解放されないということになります。また、ライフイベントが起きることによって社外とつながるステージ。お子さんの学校、地域そういった環境を通して何か新しい気づきや新たにつながるネットワークを持つことができるかもしれません。やっぱり年齢とともに教養みたいなものも豊かなライフキャリアを送るには欠かせないものだと思います。例えば何か本を読むでもいいですし、絵を見に行くでも良いですし、どんなことでも良いので意図的に自分を豊かに、そんな時間の使い方をご提案させていただいています。お子さんの色々な活動を通して、外国人の親御さんとコミュニケーションをとる機会がありました。それを機会に英語を勉強してみようとか、ボランティアのワークショップというものが結構地域で開催されているようで、ボランティアのセミナーに行きだしたという話も聞いています。
最近30代以下の若い世代と50代の方からある共通のテーマで相談を受けることがあります。どちらも学びに関してなのです。若い方は、将来の不安で何か自分の筋肉となるようなそんな学びを始めたいと、大学院に行くとか。そうすると時間とコストがかかってしまうので、何か良い方法がないかという相談があります。50代の方は、人生100年を見据えてどう時間を使っていけば良いか。落ち着いてじっくり勉強してみたいけども、どんなものがオススメですかというような相談を受ける。
先日もある男性の方が学びたいのだが、テーマが見つからないと話がありました。
普段どんな過ごされ方をしているか聞いたら、休日に山に行くとのことでした。大きな山というよりは、高尾山くらいの中くらいの山に職場後輩を連れて行ったり、いろんな人たちと行ったりしている。山の話をしているとき、とってもイキイキしている。いろいろ調べていたら、トレッキングマスターという検定試験にたどりついた。その資格をお取りになられて、どんどんどんどん海外の方も連れていきたいということで語学の勉強も始めました。そんな話を聞き仕事を通しての経験だけでなくて、学びを通してでも人は、成長することができると思います。
今後日本も欧米のようにリカレント教育といいますか、もう1回学びなおすという流れは強く出てくるのではないかと思います。もともと欧米というのは人材の流動性がありますので、学びが1ウェイではない。日本も人材が流動化していますから、たぶんリカレントというもう1回学び直すという流れが出てくると思います。フィンランドはいろんなライフステージにいる人たちに関して、学びの場が提供されている。雇用創出に直接結びつかないであろう趣味、教養を目的としたリベラル・アダルト・エデュケーションこの取り組みがフィンランドは非常に盛んです。人は仕事だとか経済の成長ためだけに学ぶのではない。まさにここが豊かなライフキャリアに通ずる考え方だと思います。人生100年の時代とはいえ、悲しいかなどんどんどんどん体力が下がって体の力は落ちていきます。でも、自分の能力に関しては自分で取り組もうと意図的にやっていくことで、能力を開発し続けることは何歳になっても可能です。これは、私自身強く思います。なかなか覚えられないとか、すぐ忘れてしまうとかありますけども、学ぶということにおいては、知識だけでなくて良いものが沢山あると思います。無形資産、人との出会いというものもその一つ。この無形資産というのは、変身資産とも言われています。自分は変わっていく中で、何か助けになっていく資産です。自分のライフステージの変化をサポートしてくれる資産になり得るという風にも言えるのかもしれません。私自身が、キャリアコンサルタントとしてぜひ多くの人の変身資産になりたいと思いますし、講座をご提供なさっている事業会社様もきっとここの役割を担っているのではないかと思います。ぜひ、今日の表彰を糧にさらに新しい引き出しを増やしながら、皆様の豊かなライフキャリアを過ごして欲しいと思います。
以上を持ちまして、私からの話は終らせていただきます。
講演者プロフィール
Career Park(キャリア・パーク)代表
根本 暁美 様
国家資格登録キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)JCDA会員(CDA)
企業での人事、営業部門、マネジメント業務に従事した経験を踏まえ2005年よりキャリア支援業務を行っている。 主に企業でのキャリアコンサルティング及びキャリア支援フレーム導入へのコンサルティング、組織の活性化について支援を行っている。特に自身の女性管理者としてマネジメント経験から組織のマネージャー支援や女性の多様性ある働き方への支援業務に注力している。 支援のモットーは自分の意思でトランジションを選択、行動できるようサポートすること。